高校から我流舎へいらっしゃる方に多いのですが,中学時代は英語は大体80点前後は取っていたのに,高校に入ってから急に成績が落ちた,という方があります(「90点以上は固かった」という人でもあり得ることです)。これは,塾で教科書準拠のプリント学習だけを大量にやらされていた人に多いケースです。定期テストの出題範囲の

・本文の訳が言える
・本文の穴埋めを埋めることができる
・扱われている文法事項の練習問題が解ける
人は,普通80点以上は取れるものです。
しかし,これを三年間繰り返していると,当然成績はそこそこ残せるのですが,学力が全くついていない,という事態になりがちです。こんなことをするよりは点数は60点でもいいから

「前置詞の働きは名詞(句)を目的語にとって形容詞句または副詞句を作ることである」

とか

「形容詞の働きは名詞を修飾することと補語になることである」
とかいう,中一で当然覚えるべきことを徹底して頭に叩き込むべきです。

愚かなことに,今の公立中学では文法用語をできるだけ避けて教えることになっています。

「surpriseの意味は?」と聞かれて「驚く」と答え,正解は「驚かせる」だと言ったら「似たようなもんじゃん」と思う人は永遠に英語ができるようにはなりません。「an exciting man」が「ハラハラ(興奮)している人」だと思う人は勉強法を根本的に改める必要があります。「exciting」が「刺激的な」の意味の形容詞で「excited」は「興奮している」の意味の形容詞だと覚えている人はまだましなのですが,それよりは

・「excite」が「興奮させる」の意味の他動詞である
・現在分詞は能動の意味の形容詞,過去分詞は受動の意味の形容詞として働く

ということを理解する方が圧倒的に効率が良いのです。
そして,「excited」は「興奮させる」の受動であるから「興奮させられている」すなわち「興奮している」の意味である,と理解していれば,他の単語を覚える時に応用が利いて,文法を学んでいない人に大きく差をつけることができるのです。「my」は「私の」だと覚えるだけではなくて,「一人称の人称代名詞の所有格である」ということを学ばなければなりません。その方が結果的に「覚えること」,ひいては「必要な苦労・努力の総量」が減るのです。

 英文法は「何年学んでも英語ができない」ことの元凶のように言われ評判が悪いのですが,それは英文法をちゃんと学ばなかった人が自分の英語力のなさの責任を他人(英文法/学校/文部科学省)に押しつけているだけで,ちゃんと学んだ人は speaking もlisteningも英文法を知らない人の何倍ものスピードで上達します。だから英会話教室でも「講師は全てネイティブ」なんてことをウリにしているようなところは避けるべきです(英文法はしっかりわかっているという人は別です)。英語が純粋に暗記科目だと思い込んでいる人は無駄な努力を重ねることになります。私見では,英語は平均的な人が考えているよりは「考える科目」で,数学は平均的な人が考えているよりは「覚える科目」です。