「自分も学生時代は数学がさっぱりだった」

とか

「数学なんてできても社会に出て何の役にも立たない」

とかお考えだったり(場合によってはお子さんの前でおっしゃったり)していませんか? 「自分ができなかったこと」や「自分が役に立たないと考えていること」をお子さんに学べというのは説得力のないこと,この上もありません。

保護者の皆さんの中にもそういう方が少なくないかと思いますが,子どもというのは「勉強しなくてもいい理由」を一所懸命に探しているものです。だから,心の底で思っていても,決してお子さんの前ではおっしゃらないで下さいね(^^;)

私の経験でも,むしろ自慢げにそのようなことをおっしゃる方に多々出会いましたが,私は,主要教科の中では数学(算数)は国語と並んで社会に出てから最も役に立つ教科の1つだと考えています。数学(算数)は雑多な知識(トリビア)を蓄えてどうなるというものではありません。これからの時代は,インターネットに代表される膨大な情報ツールをどんな人でも容易に利用できるようになります。従って,単に「モノを知っている」ということ自体にはたいして価値はなく(誰でも時間 さえかければ調べられるのですから),「必要になった時に,正確な情報を迅速に手に入れることができる」「入手した情報を有効に活用する方法を考え,必要であれば周囲の人を説得できる」といった能力が必要となります。

その時に必要なものが,筋道立ててモノを考え,人に伝える能力です。昨今問題とされる,いわゆる「キレる」という状態は,論理的に相手に自分の主張を伝えることができない子どもがやむをえず暴力的な言動に出ているものだと考えられます。論理的思考力の未成熟から来る「心がキレる」危険を回避し,「頭がキレる」人間に成長するには算数(数学)はとても重要な教科なのです。