「防御は最大の攻撃なり」

 

 さまざまな勝負事で「攻撃は最大の防御なり」ということが言われます。しかし,入学試験・資格試験において重要なのは「防御」,すなわち,みんなができる問題を確実に解くことです。そのためには,教科書や参考書などで「基本例題」「重要例題」とされているものを良く理解し,反復練習することが必要です。 そこを勘違いして,基本的な計算ミスをしたり,簡単な英単語を知らなかったりする一方で,誰も解けないような難問が解けたり,誰も知らないようなマイナーな英単語を覚えたりして悦に入ってる人がいます。いわゆる「難関」を受験しようとする人にありがちな,典型的な失敗パターンです。教科書レベルのものをきっちりやっていればセンター試験の英語や数学は80%以上取れます。二次試験対策は,センターで7~8割取れるようになるまでは必要ありません。新興の進学校や進学塾もたいてい,本来その人に必要なレベルよりも1つ高めの教材を選択することが多いようです。確かに難しいものにたまに挑戦するのは悪いことではありません。そういうものに触れることで,普段の教科書レベルのものに戻った時に簡単に感じられるからです。しかし,それを普段の勉強の基本に据えるのは愚の骨頂です。公式があやふやだったり,文法の知識が定着していないのに,難問に挑戦することは時間と労力の浪費です。例えば,有名なチャート式シリーズがありますが,難易度が「赤→青→黄→白」の順になっています。しかし,いわゆる最難関大学でも,青チャート以上は普段の勉強の基本に据えるには難しすぎです。私見では,

 

・「黄チャートのほとんどの基本例題を見た瞬間に方針が立てられる」

・「計算ミスがない」

 

で,受からない大学はありません(一部のスーパー難関医学部を除きます)。そこを勘違いしている学校や進学塾の勉強は,受験生の皆さんの脚を引っ張る存在と言って良いかと思います。私は,科目によっては学校の勉強は(私の)脚を引っ張る存在だと気づいてからは,自分で目標を設定して独自の道を歩みました。もちろん余裕をもってついて行けている人は別です。人によるということです。また,趣味で難問に挑戦するのは悪いことではありません。とにかく,「落としてはならない問題を確実に取る」 これは,全ての試験に共通する必勝法です。「攻めの学習」は,防御が万全になるまでは,あくまでも趣味の世界にとどめておいてください。