「未来の自分はすごいと思え。今の自分はしょぼいと思え」


 よく,「自分に自信を持ちなさい」ということが言われます。 しかし,この意味を誤解している人がいます。「自分ってばすご~い。もうこれでいいや。」 と,安心してしまったのか,努力を怠ってしまう人です。 自信を持つべきなのは,あくまでも,「努力したらまだまだ伸びる可能性がある」 という,「潜在能力」の部分です。 潜在能力に自信がないのは,モチベーションが下がるので良いことではありません。 だって,頑張ったってムダなことがわかってたら頑張る気なんてしませんもんね。 潜在能力なんて,自分にも他人にも正確なことはわかりっこないのだから,自信を持っておいてよいでしょう。 そして,決して自信を持ってはいけないのは「現状の自分」です。「現状の自分」に満足してしまったら人は努力しませんので進歩は止まります。「今の自分なんてまだまだ。こんなもので終わる自分ではない。あんなヤツに負ける自分は許せない。」 と思うからこそ目標に向かって努力できるのでしょう。

 

 名工の誉れ高い職人さんや一流の芸術家さんなんかでも, 「満足のいく商品・作品なんて作れたことがない」 とおっしゃる方が少なくありません。また,イチロー選手や落合さんなんかも人並み外れた高打率をマークする打者でしたが,四割を打つために研究・練習しています(いました)。

 

 塾生の中には,90点を取って「自分はできる」と満足してしまう人がときどきいます。そして,友達に向かってエラそうな言動をとっているのです。 しかし彼は,「なぜ100点取れなかったのだろう?」「なぜ自分が一番ではなくて~くん(さん)が一番なんだろう?」 と考えるべきです。 もちろん,それまでの成績よりも向上した結果が出たのなら, その部分について,一旦は「自分で自分をほめる」のもいいでしょう。 保護者の方も,ほめてあげればいいと思います。 しかしその直後に,また「上」を見なければいけません。

 

 以上のことから,「潜在能力」に自信を持ち,「現状」には満足・納得していない状態が一番いいと言えそうです。 最悪なのは潜在能力に自信がないくせに,今の自分に満足している状態ですね。「所詮おれにしてはよくやってるぢゃん。」と。 そういう人が頑張るわけないですね。というわけで, 「未来の自分はすごいと思え。今の自分はしょぼいと思え。」 と標語化しておきます。