辞書の扱いについてですが,辞書は箱から出してカバーははずし,机の前に立てる様にして下さい。コレクションとしての文芸書ではないので,箱やカバーはとっておくものではありません。辞書や参考書の箱やカバーは必ず捨てて下さい

 机の上に置いても平積みはダメです。必ず上にモノを置いてしまい,辞書に到達するまでの手数が増えますから。今まで私が見てきた辞書の扱いで最悪だったのは,机から離れた位置にあるガラス戸つきのスライド書棚の奥の書架に箱入りカバーつき帯つきで厳重に「保管」するというものでした。辞書というのは引くまでのアクションが少なければ少ないほど引く習慣が定着しやすいものです。勉強中にわからない言葉に出会ったときに,立ち上がって書棚のところまで行ってガラス戸を開けて書棚をスライドさせて辞書を取り出して箱から出して帯とかカバーとかを気にしながら辞書を引くなんてかなり面倒な作業なので,それが億劫(おっくう)で引かないということになりかねません。できれば食卓やテレビの横など,言葉に出会う可能性のある場所には,全て辞書が配備してあるというのが望ましいと思います。私はマンガも含めて本を読む方ではありませんでしたが,もっぱらテレビ(ものごころがついてから高校時代まで1日5時間は見ていました)と新聞(もちろんスポーツ欄とテレビ欄です)と辞書で国語を学んだ私は,机に向かって「現代文」の勉強をする必要は感じませんでした。自分の部屋も机もありませんでしたが,家じゅうに辞書と地図(帳)はありました。

 マンガもモノによっては悪くありません。中高生がマンガを読まなくなってから国語力は落ちているように思います。

 一番ダメなのは友達どうしのメールのやりとりでしょうか。ボキャブラリーのない者どうしでの会話は新しい言葉に触れる機会にはなりませんから。

 とか何とかえらそうなことを言っておきながら,私の書いた文章を読んでテレビで学んだ国語力ではダメだと思って机に向かって国語の勉強をしようと決意する塾生がいたりして…。